SPring-8紹介

SPring-8について

放射光の発生
放射光の発生

 SPring-8は「大型放射光施設」と呼ばれている研究設備です。放射光は、光速度に近い速度で走っている電子が、磁場などによって進行方向が曲げられた時に、電子の進行経路の接線方向に発生する電磁波の事を言います。1947年にアメリカGE社の電子シンクロトロン開発者により発見された時には、高エネルギー素粒子物理において電子の加速を妨げる邪魔者扱いでした。しかし、放射光の、

  1. 赤外からX線までの幅広いエネルギー領域を漏れなくカバーする
  2. 桁違いの輝度を持つ
  3. 高い指向性を持つ
  4. 偏光特性がある
  5. パルス特性がある

などの特性から、光プロ―ブとして秀逸であるとの観点で、現在では放射光を積極的に利用した研究が展開されています。


SPring-8の建物
SPring-8の建物

 SPring-8は"Super Photon Ring 8GeV"(超光輪80億電子ボルト)の略称です。熱電子型Ba含浸型タングステンフィラメントの電子銃から発生された電子は180kVの電圧で引き出され、線形加速器で1GeVまで加速されます。さらに電子は周長396mのブースターシンクロトロンで8GeVまで加速されてから、蓄積リングへと入っていきます。放射光を発生させるためには電子の進行方向を曲げる磁石を使うのですが、リングの円周上には「偏向電磁石」という磁石が並んでいて、電子をリング内に閉じ込めつつ円周接線方向に放射光を発生させています。また、さらに「アンジュレーター」という電磁石に入れて放射光を発生させているビームラインもあります(うちがそれです)。

 蓄積リングの接線方向には47個のビームラインエンドステーションが設置されていて、様々な手法で多彩な試料を測定しています。東大ビームラインはそのうちの7番目で、BL07LSUは"beam Line 07 Long Soft-Xray Undulator"(ビームライン7番目長尺軟X線アンジュレーター)の意味です。ビームライン、各実験装置の紹介は、"About Us"の項をご参照下さい。

参考資料

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